【孤独死・特殊清掃】「私はプロ失格です」〜事故物件 再生の軌跡 〜

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プロ失格関西クリーンサービスの亀澤範行代表には、2007年の創業以来、貫いてきた信念があります。

 

「プロとして感情移入しない」

プロだからこそお客さまの前では決して感情的にならず、作業効率を最優先させる。

 

孤独死現場やゴミ屋敷など、数々の物件をよみがえらせてきた亀澤の心構えであり、誓いでもあります。

しかし、たった一度だけ、その誓いを破ってしまいました。

 

「特殊清掃のゴッドハンド」とも呼ばれる亀澤に、いったい何があったのか。

 

今回は、孤独死により事故物件となってしまった家屋の再生から買取、そして販売までの軌跡をご紹介します。

 

 

突然死した妹

その現場のご依頼主は、75歳の女性でした。一人暮らしをしていた妹さんが亡くなったため、遺品整理と不動産買取をお願いしたいとのご依頼です。

 

ご遺体発見時には、死後約3週間が経過していました。故人にこれといった持病はなく、死因は心臓発作による突然死です。

 

「何度か電話をかけたんですが、いっこうに繋がらなかったので、気になって様子を見に来たんです。鍵を開けようとしたけど開かず、おかしいと思って警察に連絡しました」(ご依頼主さま談)

 

警察とともに変わり果てた妹さんの姿を見たときは、頭の中が真っ白になったといいます。

 

「何も手につかなかったし、何から行動したらいいかも分からなくて、動けませんでした」(同)

 

突然の訃報で途方に暮れていたとき、インターネットで関西クリーンサービスを知り、すぐに依頼を決められたそうです。

 

事故物件となった一軒家を下見

この日は問い合わせがあった物件の下見。お見積りを作成するため、現場の確認とヒアリングを行います。

 

現場は住宅街にある一軒家です。ご依頼主さまが外で出迎えてくださいました。

出迎えてくれたご依頼主様と亀澤

まずは2階の寝室に案内していただきます。お亡くなりになられたベッドの布団には、体液が染み込んでいました。

 

死後3週間経っていましたが、臭いは少ないように感じました。おそらく、故人の体格や体液の乾燥具合、一軒家という状況が合わさったのでしょう。

妹さまが亡くなられた布団

その後、ご依頼主さまに案内していただきながら、家の隅々まで確認して回ります。

家の中を案内するご依頼主様

不動産のご相談はあったものの、この時点では相続されるか否か決められていませんでした。相続後に弊社へ不動産売買されることも見据え、下見の段階で各部屋を入念にチェックします。

 

遺品整理のご要望をヒアリング

ご依頼主さまにご要望などをお伺いしたところ、どうしても見つけてほしい物があるとのこと。それは、妹さんと一緒に映った写真です。

 

何十年も前に撮影された、一枚の写真。妹さんが持っているはずだが、どこにあるのかうろ覚えだそう。

写真を探して欲しいというご依頼主様

難しいミッションにも、亀澤は顔色ひとつ変えません。常に大切な人を亡くした依頼者の気持ちを最優先する。20年前、亀澤が祖母を亡くしたときに学んだ教訓です。

 

「祖母の遺品整理をしている中で、とある業者さんに頼んでみたんですよ。そのとき、祖母の遺品がすごく乱雑というかぞんざいに扱われてしまって。業者さんから見れば、ただの廃棄物であったり不用品だったりするんでしょうけど……僕たち家族にとっては大事な遺品だったので、ゴミのように扱われてしまったのがすごく悲しかったですね」(亀澤談)

 

遺品整理と特殊清掃へ

間取り図

下見の数日後、遺品整理と特殊清掃を行うため、スタッフ4名とともに改めてお伺いしました。現場が一軒家なため、今回は各部屋で作業を同時進行していきます。

消毒作業

まずは寝室。殺菌効果のある特殊な薬剤を、機械を使って霧状に噴出させます。寝具などに染み込んだ体液から、さまざまな細菌やウイルスが発生している可能性があるため、事前の消毒は欠かせません。

 

作業スタッフの安全を確保するためにも、念入りに行います。

体液が染みた布団の状態を確認する

マットレスを上げると、体液が畳にまで染み込んでいることがわかりました。人とウイルスが接触しないよう、汚染された布団を慎重に密閉していきます。

汚染した布団を厳重に梱包する

寝室での作業と同時に、他のスタッフが家財道具を次々に運び出していきます。

 

1階は生活必需品のみが置かれており、丁寧に暮らしておられた印象です。一方、2階の一室には、たんすや衣装ケースなどがぎっしりと詰め込まれていました。

二階の遺品整理

階段の勾配(角度)がきつい家では、2階部分が倉庫代わりになりがちです。年齢を重ねると足腰が弱くなるため、一度重い物や荷物を上げてしまうと、何十年もそのままというケースが多く見られます。

急な階段

高齢者が孤独死した一軒家では、物が多いのも特徴です。

 

戦後直後やオイルショックなど、「物がなくて困っていた時代の日本」を経験された方だと、捨てる=もったいないという感覚があるからでしょう。

 

このように遺品が多く残された住居の遺品整理を業者に任せるメリットについて、亀澤はこう指摘します。

 

「親族でやろうすると、思い出に浸ってしまって作業が進まないんですよね。家族4~5人で取り掛かっても、懐かしい物が出てくるたびに『こんなん出てきたで』と手が止まってしまう。何時間も経ったのに全然進んでいない、となりがちです。実際に僕たちが祖母の遺品整理をしたときもそうでした。第三者がやったほうが、早くて効率もいいと思います。だからこそ遺品整理を任されたプロとして、作業中はできるだけ感情移入しないようにしているんです」(亀澤談)

 

しかし、他人でも思わず手を止めてしまうものが見つかりました。高額の借用書です。

借用書

遺産相続の判断に関わる権利書や保険証券、預金通帳などを見つけ出し、ご依頼主さまにお渡しすることも、遺品整理の大切な役割です。

 

もしも故人に多額の負債や借金などがあり、相続を放棄する場合は、原則として3ヵ月以内に家庭裁判所へ相続放棄申述書を提出しなければなりません。

 

相続に関わる大事な材料を見落とさないように、出てきた書類や紙切れは一枚一枚丁寧に目を通していきます。

書類を一つずつ確認するスタッフ

作業開始から3時間ほどで、家財道具をすべて運び出しました。

外へ運び出した家財道具

 

発見したアルバムをお渡し

遺品整理の途中、何冊かのアルバムを見つけていた亀澤。家財道具をすべて搬出し終えたタイミングで、発見した物をご依頼主さまに確認していただきました。

遺品整理で見つかった写真

「ああ! そうそうそう! これこれ!」

 

ご依頼主さまから思わず歓喜の声が上がります。アルバムの中に、お探しだった写真があったようです。

故人のアルバムを眺めるご依頼主様と亀澤

その写真には、ありし日の姉妹が映し出されていました。優しくカメラに笑いかけるお二人。その姿はよく似ていらっしゃいます。

 

生涯独身を貫いた妹さん。若くして嫁ぎ離れて暮らす姉に代わり、たった一人で母親を介護し看取られました。姪(※ご依頼主さまの娘さん)との関係も深く、姉妹の繋がりは濃かったようです。

故人の写真

しばらく写真をじっと見つめていたお姉さまでしたが、堰を切ったように妹さんへの強い想いを語られました。

 

「長いことありがとう。ご苦労様でした。お父さんお母さんと天国で会って、仲良く甘えてください。……まさか本人もポッと逝っちゃうと思ってなかったやろうしね。来世また姉妹になることがあったら、ずうっと一緒に育ってね」(ご依頼主さま談)

故人との思い出の写真を眺めるご依頼主様と亀澤

その言葉を聞き、思わず感極まってしまった亀澤。「プロ失格です」と漏らしながら、浮かんだ涙を拭いました。

涙を流す亀澤

このときの気持ちについて、亀澤はこう振り返ります。

 

「ご依頼主さまの故人への想いを聞いていると、大好きだった祖母を亡くしたときの気持ちがよみがえり、思わず感極まってしまいました。私も祖母と死別したときは、ご依頼主さまと同じように『天国で笑顔でいてほしい』と思いましたね」

 

ご遺族の心の整理をサポート

遺品整理と清掃の完了後、亀澤は法衣に着替え、ご供養の準備を始めました。

読経

旅立った人、そして残された人のために、もっと自分たちにできることはないか?

 

そんな想いをカタチにするため、亀澤は2021年末、出家して真言宗の僧侶となったのです。以来、関西クリーンサービスでは、故人のご供養を無料で行っております。

ご供養

「遺品整理や特殊清掃で、物事を物理的に片付けることも、すごく大事で当たり前のことですが……故人や依頼者さまの心の整理をしてあげるのも、我々の仕事と思っています」(亀澤談)

 

事故物件の買取手続きへ

ご依頼の段階では相続を迷われていたご依頼主さまですが、遺産相続し、弊社へ不動産売買されると決断されました。事故物件を依頼者が売りに出す際、さまざまなデメリットやリスクが存在します。

 

●大手の不動産会社にはたいてい断られてしまう。

●多くの不動産業者に相談すればするほど、ネガティブな情報が広まるリスクが高まり、結果的に買い手が付かなくなる。

●売却までに1~3ヵ月、場合によっては半年以上もの期間を要する。

●亡くなられてから日にちが経過し、体液や死臭が散乱、浸透している物件には、特殊清掃や脱臭・リフォームが必要。そのため依頼者にとって金銭的に大きな負担となる。

 

関西クリーンサービスは不動産業も取り扱っているため、現状のまま土地と建物を直接買い取ることができます。取引もわずか数日で完了させられるため、情報漏洩のリスクを最小限に抑えつつ、スムーズな手続きが可能です。

不動産売買契約

「突然のことだったのでどうしたらいいか分からなかったのですが、本当に助かりました。短時間ですっきりとキレイにお掃除していただいて……売買手続きも思った以上に早く終わることができて、これでやっと肩の荷が下りました」(ご依頼主さま談)

 

買い取った物件のその後―オゾン脱臭―

売買完了から数日後。

 

きれいな物件として販売するため、仕上げの特殊清掃に取り掛かりました。

脱臭作業

空間に染みついた体液の臭いを、世界水準の特殊な機材を用いたオゾン脱臭によって、根絶やしにします。

 

オゾン脱臭については下記の記事で詳しく解説しています。

臭いを根源から取り除けるオゾンですが、濃度によっては人体に悪影響を及ぼす恐れがあります。“安全な濃度と作業手順”で確実に脱臭する技術は、長年のプロとして経験を積んだ亀澤たちの強みです。

オゾン脱臭機
(薬剤の水蒸気により湿度が上がった部屋。オゾン脱臭は高湿度であればあるほど高い効果をもたらす)

 

3台のオゾン発生機とサーキュレーターを使い、部屋全体にオゾンを循環させていきます。

オゾン施行を開始
(このまま数時間燻蒸させ、臭いを完全に取り除く)

 

各部屋も同じ要領でオゾン脱臭を施し、特殊清掃は完了です。その後、壁や床、各設備をリフォームさせていただきました。

 

再生した事故物件

後日、1組の夫婦が内見にやってきました。1歳の男の子がいる、まだ若いご夫婦です。

 

率直に事故物件の印象を訪ねてみると、「ちょっと怖いかな」「雰囲気が暗そうじゃない?」と答えてくださいました。

 

しかし入室後、お二人から上がったのは、驚きの声。

リフォーム後の室内
(リフォーム後の寝室)

 

「えー、すごい!」「めっちゃきれい!」

 

事故物件であったことを感じさせない、キレイに生まれ変わったお部屋。明るく日が差し込む空間を見て、「正直気にならない。全然ありです」と気に入ってくださいました。

リフォーム後の浴室
(水回りもリフォーム済み)

 

物件の購入を決められたご夫婦。引っ越し後にお伺いすると、2階の寝室は子供部屋として活用されていました。

若い家族が内見に来た

今回のように、亀澤たちは数多くの物件をよみがえらせてきました。

 

身内の突然の死や、残された物件の処理で、精神的につらい思いをしているご遺族さまがいらっしゃれば、ぜひ弊社にご連絡ください。必ずお力添えいたします。特殊清掃のみならず、不動産業も営んでいる関西クリーンサービスだからこそ、解決できるお悩みがあるかもしれません。

 

何か些細なことでも、ぜひご相談いただければと思います。

電話・出張お見積もり、出張査定すべて無料!!

通話料無料! 受付時間8:00~20:00(年中無休)

各種クレジットカード対応!!

スマートフォンひとつで簡単にお支払いができる、決済サービス「PayPay」にも対応しています!

地域

大阪

作業人数

4名(遺品整理)

作業時間

約7時間(遺品整理)

作業内容

遺品整理、消毒、汚染物撤去、不動産買取(特殊清掃、リフォームは費用に含まない)

使用車両

2トンワイドロングトラック、パッカー車1台

遺品整理の作業料金

200000円(撮影協力含む)