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賃貸で身寄りのない人が亡くなったら。遺品整理は誰がする?

近年、生涯独身で終える人が増えています。実際に、弊社でも賃貸オーナー様が身寄りのない住人の遺品整理を依頼する事例が増えている状況です。

 

厚労省の調査(年齢階級別未婚率の推移)で明らかになった未婚率の増加もひとつの要因と考えられます。一人暮らしの高齢者が増加すると、身寄りのない方が一人で亡くなる(孤独死)ケースは今後も増えると予測できるでしょう。

 

今回は、身寄りのない人が一人で亡くなっていたらどうすればいいのかについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。

 

この記事の監修者
木戸口司法書士事務所
代表 木戸口 太志
https://isansouzoku-osaka.com/

賃貸で一人暮らしの人が死亡した際の正しい対応

自身が所有(管理)する賃貸物件で一人暮らしの住人が亡くなっていた場合、まずどのような対応ができるのか見ていきましょう。

 

まずは警察に通報

賃貸物件で一人暮らしの住人が亡くなっているのを発見した場合は、落ち着いて警察に通報しましょう。

 

警察によって事件性がないか死因を特定する必要があるからです。警察が遺体を搬送した後は、遺体引取のために親族に連絡されることになります。

 

親族や相続人、連帯保証人と連絡を取る

賃貸のオーナーは、退去などの手続きが必要になるため、早めに相続人を捜索しなくてはなりません。

 

親族や相続人がいる場合は、死亡手続きや遺品整理は親族や相続人が行います。ただし、相続放棄される場合は、遺品整理を進められない場合があるため、無理強いはできません。相続放棄をする場合、遺品整理により遺品を処分してしまうと、相続放棄できなくなり遺産継承したとみなされます。そのため、遺品整理に関しては、相続が明確になるまでおこなえない場合がほとんどです。

 

未納の家賃や室内の損傷などがある場合は連帯保証人に対応の義務があります。賃貸契約の連帯保証人は、借主と同程度の責任を負うことが定められているため、賃貸前の状態に戻す(残置物を撤去する)責任や、契約解除に伴う修繕費を負担する必要があります。

 

しかし相続人が見つからないと出生から死亡までの戸籍を調べる必要があり、容易ではありません。また連帯保証人への交渉もすぐに解決できないことが多く、トラブルに繋がりやすいため注意が必要です。

 

故人に身寄りがない場合の手続きは?

もしも、故人に身寄りが無かったらどうすればいいのでしょうか?故人に親族(相続人)がいなかったり、親族がいても故人と疎遠な関係にある場合や協力を得られなかったりする場合もあるでしょう。また、連帯保証人がすでにご逝去されている場合も考えられます。

 

これらの理由から、手続きや話し合いができない場合は、故人が亡くなられた住所地の行政や自治体に連絡をとり、遺体の引き取りや火葬・埋葬を進めることになります。

 

身寄りがいない故人の遺品・遺産相続はどうなる?

故人に親族がいる場合は、一般的に親族が遺品整理をおこないます。一方で故人に身寄りがない(=相続人がいない)場合はどうすればいいのか理解しておきましょう。

 

前述のとおり、自治体は火葬を行ってくれますが、基本的に、遺品整理をおこないません。残った資産については、民法959条(残余財産の国庫への帰属)の定めにより最終的に国に帰属されます。

 

身寄りのない故人の財産を管理する相続財産管理人とは?

通常であれば、相続人または遺言により選任された者が相続財産を管理します。

 

しかし、身寄りがない場合や相続人全員が相続放棄した場合は、財産を相続する人が不在となり、その後の手続きや債務の処理が困難になってしまいます。

 

故人に財産がある場合は利害関係にある者が家庭裁判所に申し立てをおこなうことで、相続財産管理人を指定することができます。「相続財産管理人」は財産を管理し、遺産を清算する職務を行います。

 

家庭裁判所において、相続財産管理人の選任を申し立てるには、次の3つの要件を満たすことが必要です。

 

  • 利害関係人である(賃貸人)
    財産がある
    相続人が不在

【利害関係人である】

財産の清算を管理するために誰かを選任するためには、債権者などの利害関係が必要です。

 

【財産がある】

財産がほとんどない場合、相続財産管理人を選任しても、その費用がまかなえないため意味がありません。申立人が事前に費用を負担していれば、家庭裁判所は相続財産管理人を選任することができますが、そこまでする人は多くありません。

 

【相続人が不在】

相続人がいることが分かっている場合は、相続人が財産を相続することになるので相続財産管理人を指定する必要がありません。

 

相続財産管理人を選任する流れ

相続財産管理人を選任する裁判を起こすためには、申し立てが必要です。「利害関係人」と「検察官」の両方がおこなえます。関係者には、被相続人の債権者・特定遺贈の受遺者・内縁の配偶者・療養看護をしてきた者が含まれます。

 

検察官が申し立て人となっているのは、国が相続財産管理人を必要とするケースがあり、債権などの整理が終わった後でも財産が残っている場合は、国庫に帰属するためです。相続財産を国庫に帰属させるために、相続財産管理人を選任し手続きを実行する者を選びます。

 

申し立ては、被相続人の居住地に応じた「家庭裁判所」でおこないます。

 

故人に身寄りが無く、相続財産管理人を選任しないケース

故人に身寄りや相続人がいなくても相続財産管理人選任を申し立てしないケースがあります。相続財産が存在しなかったり少額だったりする場合です。

 

この場合、賃貸オーナーに遺品整理の負担がかかると考えておく必要があります。

 

身寄りのない故人が生活保護受給者だった場合

次に、身寄りがなく、生活保護を受給していた者が亡くなった場合を見ていきましょう。生活保護の受給者は、行政から経済的支援を受け、生活しています。そのため、行政が故人の各種手続きや遺産の整理をしてもらえると考える方もいるかもしれません。

 

生活保護受給者が亡くなった場合でも、行政による手続きや遺産の整理はおこなわれないため注意が必要です。

 

身寄りがいない・相続放棄をしたなどの理由がある場合は、連帯保証人がおこないます。しかし、連帯保証人がいない場合は、賃貸管理人(オーナー)などでおこなわないといけません。

 

死亡後の火葬・埋葬

身寄りがおらず、遺留金で火葬費などが賄えない場合では、生活保護で受けられる扶助(生活扶助・教育扶助・賃貸オーナー扶助・医療扶助・介護扶助・出産扶助・生業扶助及び葬祭扶助)のうち、火葬等の費用として葬祭扶助が受けられます。

 

また、生活保護受給者以外でも、死後におこなわれる供養費は誰が負担するのかが問題となる場合がおおくあります。法律上の明確な答えはありませんが、知人や近しい人が供養をおこない、その費用を負担しているケースが多いです。

 

しかし、故人の相続人や遺言執行者以外の人は、たとえ供養を提供したとしても、故人の遺産から費用を徴収することはできません。

 

残留品の処分・遺品整理

残留品の処分や遺品整理は行政では、対応はしません。まずは親族や連帯保証人が対応しますが、いない場合は、賃貸管理人(オーナー)などが支払うことになります。

 

賃貸管理人(オーナー)には支払いの義務はありませんが、お金を出してでも片付けないことには、次の入居者を入れられず、収益を落とすことになるため、対応する方もおられるのが現状です。

 

遺品整理を業者に頼むこともできますが、ある程度まとまった費用が必要になります。

 

【遺品整理相場の料金表】

部屋の大きさ 料金相場 作業人数 作業時間
1R・1K 15,000円~ 1~2人 1~3時間
1DK~1LDK 45,000円~ 2~3人 2~4時間
2DK~2LDK 90,000円~ 3~5人 3~8時間
3DK~4LDK 130,000円~ 5~8人 6~12時間

※地域や業者により費用は異なるため、参考値としてご確認ください。

 

遺品整理の費用を詳しく知りたい方はこちらの記事もご参考にしてください。

身寄りのない人が賃貸で孤独死した場合

次に、「身寄りがない人」が賃貸で孤独死した場合の対処方法を確認しておきましょう。相続財産管理人が決定していない間は、遺産を触ることができません。しかし、人が亡くなった後のため、掃除や遺品整理などを早急におこないたいものです。

 

特殊清掃が急がれる

孤独死は基本的に発見が遅れがちです。遺体の腐敗による体液で部屋が汚れてしまっていることも多いでしょう。掃除をして見た目がきれいになっても、悪臭が残ってしまうことも多くあります。

 

そんな場合は、特殊清掃はできるだけ早く実施することをおすすめします。

 

腐敗の影響による遺体の悪臭は、部屋全体に広がってしまうためです。また、体液も床材に浸透し、床下まで広がっている場合もあります。部屋内だけでなく、近隣の住民にも迷惑になる場合があるため、警察から入室許可が出たら特殊清掃業者へ見積もり依頼を出します。

 

業者によっては当日に対応可能な場合もあるため、いくつかの業者に確認をとり、早急に特殊清掃できる事業所に依頼しましょう。

 

状態がひどい場合は、悪臭が遺品に移ってしまうため遺品整理も急ぐことになります。また、内装のリフォームも必要になるかもしれません。

 

清掃費用はだれが負担する?

特殊清掃にかかる費用は、通常連帯保証人や親族が負担します。しかし、身寄りがなく、相続財産管理人が選任されていない場合は、賃貸管理人(オーナー)が支払うことになるでしょう。なぜなら、汚染された部屋は放置できないため、前述のように早急な対応が求められることから、賃貸管理人(オーナー)が立て替えて支払うケースが多いのです。

 

後々、遺産があった場合は清算可能ですが、なかった場合は清算ができないことも考えられます。このようなトラブルを防ぐには、大家向けの保険「賃貸オーナー総合保険」の加入がおすすめです。補償範囲も広く、さまざまなトラブルに対応しています。ただし、補償範囲の広さから、申請忘れのないように注意しましょう。

 

実際の事例 身寄りのない故人の遺品整理依頼

関西クリーンサービスでは大阪・京都・奈良を中心に遺品整理のご依頼を承っています。多くのご依頼はご遺族からのものですが、ご遺族がいない場合や遺品の引き取りを拒否した場合に、賃貸オーナー様や不動産管理会社からの依頼があることも珍しくはありません。

 

賃貸で身寄りのない40代男性の入居者が孤独死

入居者がユニットバスで孤独死したため特殊清掃を依頼したいとのご相談を承りました。近隣から異臭の苦情が出ていたそうですが、親族との関係が良好ではなかったのか、相続を放棄されたのだそうです。連帯保証人はすでに他界した状況で、やむなく賃貸オーナー様が遺品整理と特殊清掃を負担することになったといいます。

 

オーナー様によると、離婚していて長年疎遠になっていたり、縁を切っていたりなどの理由で生前の家族関係がよくなかったために親族による遺品整理が行われなかったケースも少なくないといいます。

 

オーナー様にとっては負担となりますが、苦情が出ている以上放置することもできず遺産をお渡ししました。特殊清掃までを済ませて、お引き渡しさせていただきました。

 

今回の事例は、YouTubeで作業の様子を公開しています。ぜひご覧ください(動画にはモザイクが入っていないため、十分注意してください)

 

遺品整理が困難な息子・・・唯一の親類を遺して亡くなったお母さまがとった方法

今回遺品整理をさせていただくことになった故人には、1人息子がいました。唯一の相続人でしたが、障害を持っておられたため相続や遺品整理の判断が難しい状態だったのです。

 

遺される息子さまを心配していたお母さまが入院中にとった方法は、姪御さんにご自身の死後のことを頼むことでした。

 

しかし、息子さまもお母さまと時期を同じくして亡くなられたのです。息子さまは障害を持っていたため働くことができず、生活保護を受けていました。ご自宅で亡くなった息子様の最期は姪御さまが世話をされたといいます。部屋の状態を見ると、息子さま1人での生活は大変な困難だったことが伺えました。

 

こうして姪御さまがご依頼主となって弊社へご相談いただくこととなりました。

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まとめ:増加する身寄りのない人の遺品整理。賃貸オーナー、行政の負担も増す

結婚しない単身者が増加している日本では、今後さらに身寄りのいない一人暮らしの方が増えることが予想されます。超高齢社会も迎えているため、高齢者の孤独死も無視できない状況でしょう。

 

賃貸オーナーは、孤独死を発見するケースが増えてくるかもしれません。そんなときは慌てずに警察へ通報しましょう。身寄りがいない場合は、連帯保証人や相続財産管理人と相談し、今後の手続きや処理を話し合っていくことになります。

 

ただし、孤独死の状況によっては、早急に特殊清掃や遺品整理が必要となるため、一旦費用の立て替えが必要となるでしょう。ただし、清算ができないケースもあるということを知っておきましょう。

 

このようなリスクを回避するためには、大家向けの保険「賃貸オーナー総合保険」に加入し、未然に保証を確保しておくことも大事です。

 

また、入居側は元気なうちに生前整理をしたり、連帯保証人の確立や、身近な人に万が一の時の対応を相談したりておくのもひとつの方法です。

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