コロナ陽性で自宅療養中に孤独死。一人暮らしの高齢者が遺した“日常”の痕跡

作業カルテ

コロナ陽性で自宅療養中に孤独死。一人暮らしの高齢者が遺した“日常”の痕跡

コロナ禍まっただ中の2021年5月、ある一人暮らしの高齢男性が自宅でひっそりと息を引き取りました。死因は、新型コロナウイルス感染による重症化です。

当時私たちがおこなったのは、感染リスクの高い状況下での特殊清掃と遺品整理。

あの頃、全国で静かに増えていた“誰にも看取られない死”のひとつと、そこで私たちが見たものを記録に残します。

今回の清掃をご案内するのは・・・

ナビゲーター ”にゃんと”
大阪・京都・奈良を中心に近畿一円でゴミ屋敷片付けや遺品整理、特殊清掃のサービスを提供する関西クリーンサービスのマスコットキャラクター
解説 関西クリーンサービス スタッフ 太田春哉
関西クリーンサービスのベテラン清掃スタッフ。
「現場作業の詳細をYouTubeで公開しています。ぜひご覧ください!!」
関西クリーンサービスYouTube:https://www.youtube.com/@k_clean0
目次
  1. 誰にも看取られず迎えた死。感染対策で家族は顔も見れず…
  2. 感染リスクと隣り合わせの特殊清掃
  3. 遺品整理でたどる故人の人生
  4. 特殊清掃の概要
  5. 2025年のコロナ孤独死の実態。“他人事”にしないために、今できること

誰にも看取られず迎えた死。感染対策で家族は顔も見れず…

故人が生活していた部屋

今回は、故人の息子さまからご依頼をいただきました。

現場は神戸市内の繁華街の近くにある2階建て一軒家。亡くなられたのは、70代後半から80代と見られる高齢男性です。

もともとは介護施設に入所されていましたが、コロナ感染が判明したことで、一時的にご自宅に戻り、自宅療養をされていたそうです。

関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

当時は感染拡大の真っ最中。入院先が見つからず、やむを得ず自宅での療養を余儀なくされるケースも少なくありませんでした。

その後、施設の介護職員が様子を見に訪れましたが応答がなく、不審に思って中に入ると、故人はベッドの上ですでに息を引き取られていました。状況から、死後約1日が経過していたといいます。

感染拡大防止の観点から、葬儀社もご遺体をすぐには引き取れず、やむなく故人は丸一日、自宅ベッドの上に安置されていたそうです。

関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

ご遺族は葬儀でも故人のお顔を見られず、弊社が室内消毒をするまで家の中に入ることさえできませんでした……

感染リスクと隣り合わせの特殊清掃

手を合わせる特殊清掃員

高齢だった故人は、1階のダイニングキッチンにベッドを置いて生活されていました。

関西クリーンサービススタッフ

ナビゲーター にゃんと

2階はあまり使用していなかったみたいだよ。

コロナ禍での特殊清掃は、通常以上の感染対策が求められました。厳重に防護をして、最小限の人数で室内に入り、まずは家全体の除菌作業をおこないます。

オゾン発生器
黄色の機械を使用してオゾン燻蒸をおこなう

次に噴霧器を使用し、一部屋ずつ除菌消毒。

噴霧器で消毒薬を撒く

外に運び出す寝具も念入りに消毒します。寝具には、ご遺体から出た体液が染み込んでいました。

寝具の消毒

感染対策を徹底するため、布団類を入れる前にゴミ袋の内側にも消毒薬を噴霧。入れたあとも、再度念入りに消毒しました。

寝具の消毒

体液で汚染された寝具を搬出し、除染完了です。玄関先に薬剤の入ったタライを置き、出入りする際はその都度、靴を除菌消毒しました。

関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

この現場では、いつも以上に防護を強化しました。マスク・ゴーグル・防護服のレベルを上げ、手袋も二重に。完全防護をして、絶対に「顔を触らない」と徹底しました。

関西クリーンサービススタッフ

ナビゲーター にゃんと

感染拡大のピーク時だったけど、怖くなかったの?

関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

最初に現場に入るときは、正直怖いという気持ちもあったよ。最初の除菌作業は、特殊清掃の経験が豊富なスタッフが担当したんだ。徹底して除菌消毒したから、このあとの遺品整理は安心して進めることができたよ。

遺品整理でたどる故人の人生

遺品整理の開始

室内の除菌と消毒が終わったあとは、ご遺族とともに遺品の整理に入りました。

棚には歴史の本や健康サプリメントの箱、たくさんの書類や古い家族写真などが整然と並べられていて、「きちんとした生活をされていた方なんだな」と感じさせられます。

関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

亡くなられた方は、元薬剤師だったそうです。水回りもすごくきれいで、玄関の下駄箱も中まで整頓されていて。几帳面な性格がよく伝わってきましたね。

キッチンのテーブルには、封を切ったばかりのパンの袋とお皿。

その光景は、まさに“生活の途中”で時間が止まってしまったことを物語っていました。

テーブルの上の生活の痕跡
関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

高齢者の一人暮らしによく見られるように、全体的に物は多いものの、いろんなものがキレイに保管されていました。

作業中、ご遺族が古いモノクロ写真を手に取り、しばらく見入っておられました。

その横で、私たちは黙々と手を動かします。

写真を手にするご遺族

遺品整理では、思い出の品を前に、ご遺族の手が止まってしまうことがよくあります。だからこそ、プロの私たちが“手を止めずに、心は寄り添いながら”作業を進めていくことが大切なのです。

整理を進めるスタッフ

棚の奥からは、「ステルナ 重要」と書かれた紙の束が見つかりました。中を確認すると、火災保険の契約書類が。

こうした貴重品や重要書類も、一つひとつ見落とさずに仕分けしていきます。

整理を進めるスタッフ

整理を進める中で、ご遺族がふと微笑んだ場面がありました。

お客様B

お客様B

懐かしい……これ、僕が18歳のときから部屋に貼ってあったんです

そう語られたのは、手書きの家訓のような紙。そこには、故人が大切にしていた言葉が綴られていました。

遺品整理をしながら談笑する依頼者様とスタッフ

遺品の中には、古銭(天保通宝)や公正証書、どこのものか分からない鍵、探されていたという賃貸契約書などもありました。細かいものも見落とさずに整理していきます。

関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

処分してよいか迷うものはすべて段ボールにまとめておき、あとからご遺族に確認していただけるようにしています。

関西クリーンサービススタッフ

ナビゲーター にゃんと

あれ、何か細長い木箱も出てきたよ。なんだろう?

関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

これは…年代モノの消防ホースかな?

古い遺品

さらに、へそくりが入った封筒も発見。中には、ピン札の百円札が束のまま入っていました。

大量の思い出や、隠れた財産。そのすべてを丁寧に確認しながら、ときおりご遺族さまの語る思い出に耳を傾けつつ、遺品整理を進めました。

仕分けが終わった不用品はすみやかに搬出。

電化製品を運び出すスタッフ

家電や家具なども外に運び出し、作業終了です。

特殊清掃の概要

地域兵庫県
作業内容ウイルス除染、 遺品整理
スタッフ人数4名
作業日数1日
使用トラック2tトラック
参考料金200,000円

大阪・京都・奈良で孤独死の特殊清掃にお困りなら関西クリーンサービスにお任せください

特殊清掃の作業は家財道具の片付けや体液の洗浄だけでなく、脱臭、内装の撤去・やり替えなど多岐にわたります。関西クリーンサービスではこれらの作業を一貫して対応いたします。業界トップクラスの清掃、オゾン脱臭技術で、お部屋を原状回復。リフォーム業者様と提携されている場合の作業の範囲もお気軽にご相談ください。

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2025年のコロナ孤独死の実態。“他人事”にしないために、今できること

コロナ関連の記事のスクラップ

遺品の中には、コロナ関連の新聞記事のスクラップもたくさん残されており、コロナへの関心の高さが感じられました。

清掃に入った2021年5月当時は、ちょうど高齢者向けの第一回目のワクチン接種が始まったばかりの頃。コロナに十二分に注意を払っていたところでのご不幸でした。

翌月の6月、厚生労働省のデータでは、60歳以上のコロナ陽性者のうち8.5%が重症化すると報告されていました。

さらに、高齢者の発症から死亡までの経過が非常に早いことや、感染防止のために人の行き来が極端に減っていたことも重なり、高齢者の“コロナ孤独死”は目に見えないところで増加していたのです。

関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

弊社が対応した中で、コロナ感染による孤独死はこの1件だけでしたが、
「外出自粛の影響で人に会わないうちに亡くなっていた」
「数日間連絡が取れず、後に発見された」
といったコロナに影響を受けた孤独死は確実に増えていると実感しました。

関連動画
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現在、日本では65歳以上のひとり暮らしの世帯が700万を超えています(2018年 総務省推計)。最近では、いわゆる“孤独死とは無縁に見える人”が突然亡くなっているケースも目立つようになりました。

関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

たとえば、健康に気をつかっていたり、家族と普段から連絡を取っていた方でも、ある日突然、誰にも気づかれないまま亡くなってしまう。そういう現場を、実際に私たちは見ています。

コロナ禍によって、地域の集まりやちょっとした日常の接点が減ったまま、今も元に戻っていない場所も少なくありません。自治会の会合が書面だけになったり、電子回覧板に切り替わるなど、「たまたま顔を合わせる」という機会が失われつつあります。

関西クリーンサービススタッフ

ナビゲーター にゃんと

コロナにかかわらず、感染症にかかったときに外出や人と会うのを控えることも増えたよね。生活や人の意識の変化が、孤独死の増加につながっているのかも……

関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

一方で、コロナ禍以降、孤独死への関心は高くなっているんだ。

2025年には、警察庁が初めて全国規模の孤独死に関する統計を発表しました。

「令和6年中における警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者について」(警視庁発表)によれば、令和6年に全国で取り扱われた遺体のうち、約37%が「自宅で亡くなった一人暮らしの方」だったと報告されています。とくに85歳以上の孤独死は1万4000件以上にのぼります。

関西クリーンサービススタッフ

担当スタッフ 太田

この記事を読んでくださっている方には、ぜひ、離れて暮らすご家族や身近な高齢の方に、一度連絡を取ってみてほしいです。

関西クリーンサービススタッフ

ナビゲーター にゃんと

「元気?」って聞くだけでも、きっと安心につながるはずだよ。

ほんの一通のLINE、一回の電話。それだけで防げる孤独死も、きっとあるはずです。

“もしも”が起きる前に。

いま、あなたができることを、ひとつだけでも始めてみてください。

関西クリーンサービスのYouTubeでは、実際のご依頼を通じてゴミ屋敷や孤独死の実態を詳しくお伝えしています。あなたの気づきや、なにか考えるきっかけになれば幸いです。

対応地域

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地域

兵庫県

作業内容

ウイルス除染、遺品整理

スタッフ人数

4名

作業日数

1日

トラック

2tトラック

参考料金

200,000円