ユニットバスでの孤独死~特殊清掃の一部始終~

作業カルテ

ユニットバスの孤独死

今回の作業は、マンションの管理会社様からのご依頼でした。特殊清掃は第一に保証人が費用負担をしなければなりません。また、保証人が他界している場合には相続した遺族が費用を負担する形になります。そして保証人や血縁者が見つからない場合や相続を放棄した場合などは大家さんが特殊清掃の費用を負担することもあります。さらにその後、心理的瑕疵物件になり買い手が見つからない等、様々な影響を及ぼします。

孤独死の影響力は残された家族はもちろんのこと一言では言い表せない、重大な社会問題の一つです。そんな孤独死の現場で特殊清掃作業の一部始終をご紹介します。

実際の孤独死の現場

日中の暑さが残る9月某日、大阪府のマンションの一室で特殊清掃のご依頼を受けて当社スタッフは現場へ伺いました。

さっそく状況を確認しようと玄関の扉を開けると、死臭とよばれる異様な臭いが鼻を突き刺します。部屋の間取りは1K。入って左手すぐにあるキッチンのシンクには、フライパンや食器が当時のまま置かれています。

さらに進んだ先のリビングは、まだ誰か住んでいるかのような生活感あふれる状態でした。家具などはあまり多くなく、大きなマットレスがベランダの窓の前にドンと置かれており、周りには飲みかけのペットボトル、地べたに置かれたたばこと灰皿、その傍らには充電器がささったままの携帯。テーブルにはざっくばらんに物が広がって置いてあります。ご遺品から推測するとおそらく30代~40代の方ではないかと想像できました。いかにも男性の一人暮らしという印象を受けます。

ご遺体が発見された場所はこの大きなマットレスが敷かれているこの部屋ではありません。亡くなられたのは玄関を入ってすぐ右手、キッチンの向かいにあるユニットバスの中なのです。

清掃スタッフがトイレとバスタブが一緒になったユニットバスを確認すると、便器の周りに大量の体液が流れ出ており、それはユニットバスの入り口の外まで広がっていました。発見後、遺体輸送からひと月立っていたため体液が凝固して床にこびりついている状態です。

早速、清掃に取り掛かります。

高温注意!!夏場の防護服は熱中症との闘い

まずは合掌。お亡くなりになった方へ手を合わせご冥福をお祈りいたします。

亡くなられたのがユニットバスの室内であったため、まずその場所以外の片付けを始めます。部屋の荷物の仕分けをおこなってから運び出す作業を開始。貴重品が紛れてしまわないように書類や郵便物を一つ一つ確認しながら仕分けして片付けていきます。

孤独死に限らず人が亡くなったお部屋の作業では臭いで気分を悪くする人もいるため、周囲に臭いが漏れ出てしまわないようにできるだけ窓を閉めて作業を行います。さらに消毒や防護が必須となります。そのために夏でも冬でも関係なく防護服を着用し万が一ご遺体が何らかのウイルスにかかっていた場合の作業員の二次感染を防ぐためです。

この日は9月半ば。夏の暑さが残る季節、部屋の中は締め切った状態で、もちろんエアコンを使うことはなく、かなりの高温の中作業を進めていきます。汗がダラダラと流れ落ちマスクによる完全防備もあって息苦しく熱中症に気を付けながらの作業になります。お部屋が1Kということもあり着々と作業が進み、あらかたの搬出を終えました。

特殊清掃の本番。体液の洗浄

そして、ようやくお亡くなりになったユニットバス内の清掃に入ります。

まず先にユニットバス内の体液が付いた汚染物をゴミ袋に入れて処分していきます。次にユニットバス内に消毒剤を噴霧し、全体を消毒。そして、体液全体に粉末状の消毒剤を振りかけます。

粉末の消毒剤と一緒にこびりついた体液をスクレーパーで削り取り、最後にブラシでこすりながら水で流し体液の痕を洗浄します。

出入口のCF(クッションフロア)にこびりついた体液も粉末消毒剤をふりかけて削り取り、CFは撤去して今回の作業は終了しました。

特殊清掃の作業は汚染した残置物の撤去や体液の洗浄、内装の撤去・やり替え、脱臭など多岐にわたりますが、作業内容は依頼主様とご相談のうえで決定させていただいております。

マンション・アパートなどの集合住宅はリフォーム業者と提携されていることも多々あります。作業の範囲はお気軽にご相談ください。

動画の概要とポイント

動画では特殊清掃がどういったものなのか、清掃現場の状況をリアルに伝えています。

1.現状の把握

・部屋の衣類から30代~40代の男性と推測
・死後経過日数は未確定
・室内は生活していた時のまま
・異臭が漂っている

2.お亡くなりになられた場所と状況の確認

・ユニットバスに体液の痕
・ユニットバスの外まで体液が流出

3. 部屋全体の片付け

・合掌
・ご遺品を搬出

4.亡くなられた場所(ユニットバス)の体液の洗浄、除去

・汚染された処分品の片付け
・全体を消毒
・消毒液で凝固した体液を削り取り洗浄

※動画はモザイクがありません。十分注意してご覧ください。

特殊清掃の疑問

特殊清掃についてよくいただく質問を集めました。

1.孤独死とは?

A.明確な定義があるわけではありませんが、医師や家族など周囲の誰にも看取られずに亡くなり、発見が遅れた場合に孤独死と言います。数日~数か月間発見が遅れることもありご遺体の腐敗が進んでいることが多いのも孤独死の特徴です。

2.なぜ防護服?暑くないの?

A.万が一体液にウイルがあった場合に、二次感染を防ぐために防護服を着て作業を行います。
夏場は暑くなりますが、水分補給や休息をこまめに取って作業します。

3.清掃中の臭いは外に漏れないの?

A.孤独死が発覚する理由の一つに臭いがあります。家族や友人との付き合いが希薄な人の場合、近隣住人が異常な臭いに気づいて発見に至るのです。
しかし、それほどまでに強い匂いは近隣住民への苦情につながりますので特殊清掃の作業中は出来るだけ臭いが外へ漏れ出ないように窓を閉めて作業を行います。

4.体液って何?

A.体内にあるすべての液体。血液・リンパ液・脳脊髄(のうせきずい)液などを指します。腐敗は胃や腸から始まり、体内で発生したガスによって遺体が膨張して、やがて溶解した肉と皮を破ってガスとともに体液が噴出します。

増加する孤独死と特殊清掃のご相談~私たちが伝えたいこと

昨今におけるコロナの影響や超高齢化社会、未婚率の高さによる一人暮らしの増加など、孤独死が増加している原因はさまざまな社会背景があると考えられます。

特殊清掃の現場では、故人が生きていた証、ご遺族の悲痛な声、物件オーナーの苦悩など様々な思いが表面に現れてきます。そんな孤独死の現場で行う特殊清掃の様子を知ることで、離れて一人暮らしをする家族、友人を気にかけるきっかけになればと願っています。それが早期発見や孤独死を防ぐことになるのではないでしょうか。

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カルテNo.

0001

地域

大阪府

作業内容

遺品整理、体液痕の洗浄、床材撤去

作業人数

3名

料金

250000円