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事故物件を相続する前に!知っておきたいリスクと対処方法

家族が亡くなると、その遺族(配偶者、子供など)は残された家を引き継ぐことになります。しかし、相続した家が事故物件の場合は一筋縄ではいかないことも。そのため、相続財産に事故物件が含まれる場合は、その他の相続とは異なる配慮が必要です。

 

そこで今回は、事故物件の相続に悩んでいる方に向けて、相続の手続き・相続税・修繕の必要性・相続放棄について解説していきます。ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者
弁護士 中原 圭介
法律事務所Acrew(アクル)
https://acrew-law.com/
弁護士/中小企業診断士

 

事故物件とは

事故物件と聞くと、誰かが亡くなった住居や、何らかの事件が起こった物件というイメージがあるかもしれません。

 

そもそも事故物件には明確なルールや基準が定められておらず、定義も含めて曖昧で、現場任せになっていた過去があります。

 

そこで、国土交通省では、2021年に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を定め、事故物件の取引に対して基準を設けました。

 

ガイドラインによると、転倒や窒息などの日常的な状況による逝去や老衰に関しては、原則告知不要とされています。しかし、発見までに時間がかかった孤独死の場合は事故物件に分類され、告知義務が生じます。

 

また告知すべき期間について、賃貸物件や集合住宅の共用部などで、自殺や他殺などにより死亡した場合又は病死等の自然死であっても特殊清掃等が行われた場合は、死亡又は死亡が発覚してから3年が経過するまでの間は告知義務があるとされています。一方で、売買の場合には3年以上が経過していても期間に関わらず告知する必要があると考えられているのです。

 

相続した不動産が事故物件に該当するかどうかを知ることは重要です。その後の手続きなどが大きく変わる場合があるため、事故物件かどうかの判断はしておきましょう。

 

事故物件の相続で考えられる7つのリスクは?

ここからは事故物件の相続に関するリスクを紹介します。リスクは以下の7つです。

 

  • 1.    売却処分しにくく、価値が下がる
  • 2.    更地にしても心理的瑕疵は残る
  • 3.    孤独死の場合は特殊清掃費用が嵩む
  • 4.    遺産分割のトラブル
  • 5.    孤独死の場合、相続財産の状況がわからない
  • 6.    風評被害を受ける
  • 7.    精神的な負担

 

売却処分しにくく、価値が下がる

事故物件の場合、次の買い手が見つかりにくいため、物件の価値が下がるのは想像できるでしょう。価値が下がる理由として考えられる一番の原因は、「購入意欲が下がる」ということです。

 

事故物件と聞くと誰でも「人が亡くなった物件」や「問題のあった物件」と判断し、購入を躊躇する人も多いでしょう。家を買うのは借りるよりもハードルが高く、基本的には長期的に住む人がほとんどです。「事故物件でも買おう」と思えるほどの理由がないと購入にはつながりません。

 

また、事故物件に該当した場合、不動産の担保価値は落ちてしまいます。多くの方が、物件購入時に住宅ローンを組みますが、事故物件の場合、買主が融資を受ける段階で断られることがあるので注意が必要です。

 

しかし、買い手がつくまで、物件の管理義務が生じます。固定資産税やその他の維持費など、さまざまな負担があるため、相続するかは慎重に検討すると良いでしょう。

 

更地にしても心理的瑕疵は残る

心理的瑕疵(かし)とは、物件の購入者や借主の心理的な抵抗を指します。法律上、瑕疵とは欠陥のことで本来備わっているはずのものが足りないと解釈されます。

 

不動産における心理的瑕疵は多くの場合、元住人の殺人・自殺などによる死亡があった建物、いわゆる「事故物件」を指します。

 

事故物件がなかなか売却できないと、処分(解体)も視野に入るでしょう。しかし、建物を処分して更地にしても「ここの場所で〇〇があった」という事実は変わらず、告知義務は残ります。つまり、心理的に抵抗を感じる人は少なからずいるものと言えるのです。

 

孤独死の場合は特殊清掃費用がかさむ

死亡の発見が遅れた孤独死の場合は、遺体の腐敗などから、匂いや汚れが物件に残ってしまいます。そのため、特殊清掃などの手配が必要です。

 

特殊清掃は、ハウスクリーニングよりも高額となるため、金銭的な負担がより大きくなります。また、早く清掃する方が跡も残りにくいため、早々に対応する必要もあり、切迫した心理状態に陥る場合もあるでしょう。

 

遺産分割のトラブル

遺言書を作成していない場合は、法定相続人で遺産を分けることになります。法定相続人の相続順位と分割は以下の通りです。

相続順位 相続人 法定相続分
第1順位 死亡した人の子供
※子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)
※子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代を優先
配偶者2分の1
子供(2人以上のときは全員で)2分の1
第2順位 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
※父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代を優先
※第1順位の人がいないとき相続人になる
配偶者3分の2
直系尊属(2人以上のときは全員で)3分の1
第3順位 死亡した人の兄弟姉妹
※兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供
※第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になる
配偶者4分の3
兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)4分の1

参照:国税庁HP

 

法で定められた割合で相続人が全員で遺産を相続する手続きを遺産分割と呼びます。しかし、遺産はすべてのものがきれいに分割できるものではありません。そのため、以下のように遺産を分割する方法があります。

分割方法 内容
現物分割 現物そのままの形で、各相続人に分配します。
代償分割 特定の相続人が相続分を超える遺産現物を相続し、超過分を他の相続人に金銭で支払います。
換価分割 相続財産現物を第3者に売却した代金を相続人間で分割する方法。
共有分割 財産の一部~全部を相続人全員が共同で所有します。

 

孤独死の場合、相続財産の状況がわからない

孤独死では、生前の交友関係がはっきりしない場合があり、付き合いが浅かったのにもかかわらず、突然あなたが相続人になるというケースもあります。

 

相続人になると負債や物件の管理、手続きなどすべて賄わなければいけませんので、安易に引き受けないように注意しましょう。

 

風評被害を受ける

インターネットの普及に伴い、市場に出ている物件の情報は購入を検討する人にとって、身近なものとなっています。また、周辺の情報や口コミなども幅広くリサーチが可能になりました。

 

そのため、事故物件などは口コミの対象になりやすく、風評被害を受けやすい状況です。告知をしなくても良いケースであってもさまざまな情報が流れ、売却しづらい状況になることも予測できます。

 

このような場合、類似物件との比較でも価格帯でしか差別化が難しいので、相場よりも価格設定を下げることがほとんどです。

 

精神的な負担

事故物件を所有すると、売却やリフォーム、処分方法など、頭を抱えることが増えるかもしれません。また、一つひとつに手続きや説明などが生じることがあります。遺族にとっては物件での出来事を思い出すごとに精神的に負担を感じることも増えるでしょう。

 

事故物件を相続するには、いくつもの負担がついてくるため、放棄する方も少なくありません。次からは相続放棄について紹介します。

 

事故物件の相続放棄という選択

相続は放棄する(一切受け取らない)ことも可能です。相続放棄は一般的に、故人に多額の借金がある場合や自分以外の相続人がいる場合に選択する方が多いです。相続放棄する場合でも、さまざまなトラブルが発生することも多いため、慎重に選択していきましょう。

 

相続放棄の手続き

相続放棄の手続きは以下の流れでおこないます。

 

  • 1.    相続放棄の費用を準備する
  • 2.    相続放棄に必要な書類を用意する
  • 3.    財産調査をおこなう
  • 4.    家庭裁判所に相続放棄を申し立てる
  • 5.    相続放棄申立後に照会書が届く
  • 6.    許可されれば相続放棄申述受理通知書が届く

 

1.相続放棄には、収入印紙代800円が必要です。また、裁判所ごとに異なる切手代が必要になるため、確認しておきましょう。

 

2.相続放棄の意思表示を示した相続放棄申述書・被相続人の住民票除票または戸籍附票・申立人の戸籍謄本の他、申立人が相続人であることがわかる戸籍謄本を準備します。

 

3.次は預貯金や不動産などの財産調査をおこないます。相続放棄の判断は、預貯金や不動産と借金などを差し引きし、マイナス分が多い場合に決断すると良いでしょう。

 

4.次に被相続人の住民票がある地域を管轄する家庭裁判所へ相続放棄を申し立てます。

 

5.申し立てから10日ほどで、家庭裁判所から相続放棄に関する照会書が送付されます。送付書に必要事項を記入して家庭裁判所へ送り返しましょう。

 

6.さらに10日ほどで、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きます。

 

管理責任は残る

相続放棄が受理されても、すべて解決したわけではありません。なぜなら、国は不動産を引き取らないため、次の相続人が決定するまでは不動産の管理責任は残るからです。(民法第940条第1項)

 

不動産を管理する際には次のことに注意しなければなりません。

 

  • ・維持管理の費用がかかる。
  • ・自然災害などによる損壊。またそれによる被害。

 

台風被害で屋根が落ちたり、倒木による被害は度々ニュースで報道されています。

 

万が一、台風で落ちてきた屋根瓦が近隣に被害を与えたり、倒れた庭木で通行人が怪我を負ったりすることがあれば、損害賠償責任が問われる事態にもなりかねません。こういった事故が起こらないように、建物の老朽化を防ぐ管理が必要です。

 

相続財産管理人選任を家庭裁判所に申し入れることで管理責任を逃れることもできますが、そのためには費用が生じます。

 

基本的に相続財産管理人への報酬は故人の財産から支払われます。しかし、財産が少ない場合や、マイナス財産しかない場合は申立人が20~100万円程度の予納金を負担しなければなりません。

 

相続放棄をする場合は、こういったリスクが生じることを理解しておきましょう。

 

赤字覚悟でも、相続するという選択

事故物件でも、条件によっては相続する場合があるでしょう。ここからは、相続する場合のポイントを紹介します。

 

事故物件の相続税

相続する不動産が事故物件のような特殊なものであっても、相続税はかかります。相続税は、相続した財産の価値によって評価額が決まり、不動産のように高額なものほど高くなります。

 

しかし、事故物件の場合は物件の価値が大きく下がるため、相続税も少なく済みます。国税庁は、臭気、忌み等により、「その取引金額に影響を受けると認められるもの」を「利用価値が著しく低下している宅地」と位置づけて、相続税評価額が10%減額できるとしています。

 

つまり、孤独死や自殺によって起こる悪臭や心理的な障害が発生した事故物件の相続税は10%程度減額される可能性があるのです。

 

空き家にするなら早めの売却が得策

故人の財産に事故物件が含まれる場合、その不動産を利用する予定が無く、相続放棄をするよほどの理由が無いのであれば相続をして早めに売却することがおすすめです。

 

管理する必要がなくなれば心身共に安心して過ごせるでしょう。建物は誰も住むことなく放置していると劣化してしまいます。売却処分を選択することで災害のたびにおびえる心配もありません。

 

不動産を売却するには次の三つの方法があります。

 

  • ・個人間で取引する
  • ・仲介業者に依頼する
  • ・買取業者に売却する

 

個人間で取引する場合は、書類の作成なども自分で行わなくてはなりません。事故物件の事情を理解している人が譲ってほしいと言った場合であっても、専門知識のある人が間に入って取引することをおすすめします。しかし、そうでないならトラブルを避けるためにもおすすめはできません。

 

仲介業者は、購入したい人を売主に代わって探してくれます。買取業者は仲介とは異なり、売主から直接物件を買い取ります。

 

仲介業者や買取業者に依頼するとスムーズにおこなえるため、事故物件を売却するなら事故物件専門の業者に依頼すると良いでしょう。

 

事故物件の相続で悩んだら関西クリーンサービスへご相談ください

関西クリーンサービスは大阪・京都・奈良を中心に特殊清掃や遺品整理のご依頼を承っております。中には清掃・整理のご相談と併せて、事故物件となった不動産をそのままの状態で買取させていただくことも。

不動産を取り扱うグループ会社と連携した関西クリーンサービスの事故物件買取は他の不動産会社にはない独自のサービスもございます。思いがけず事故物件を相続し、処分に困った際は気軽にご相談ください。

 

関西クリーンサービスの事故物件買取の特徴

 

  • ●    事故物件をすぐ現金化。現状のまま直接買取
  • ●    弁護士・行政書士・司法書士、法律の専門家と連携
  • ●    ゴミ屋敷片付け、特殊清掃、リフォームを自社施工

 

事故物件をすぐ現金化。現状のまま直接買取

優れたリノベーション技術により、事故物件や原状回復が必要な物件も買い取ることができます。買取が行われた後は、売主の責任はありません。

 

仲介業者を利用して不動産を売却する場合、契約成立から資金を受け取るまでに最低でも1ヶ月はかかります。しかし、カンクリ不動産では、必要な条件を満たすことで契約完了からわずか1日で現金を手にすることが可能です。

 

弁護士・行政書士・司法書士、法律の専門家と連携

弁護士・司法書士・遺品整理士・税理士・宅地建物取引士など、信頼できる専門家と連携がとれるため、事故物件をスムーズに買取可能できます。

 

個人では、各専門職にそれぞれ依頼や契約をしないといけないため、時間も労力も必要です。連携するだけでも疲れてしまうこともあるでしょう。

 

ゴミ屋敷片付け、特殊清掃、リフォームを自社施工

事故物件には、独自の特殊建築工法で改修を行っています。リノベーションを行うことで、資産価値を高め、その価値を反映した査定を行い、売却につなげます。

 

通常の特殊清掃では、行き届かないリノベーションで、買取まで一体的に行えるため、労力も減らせるでしょう。

電話・出張お見積もり、出張査定すべて無料!!

通話料無料! 受付時間8:00~20:00(年中無休)

各種クレジットカード対応!!

スマートフォンひとつで簡単にお支払いができる、決済サービス「PayPay」にも対応しています!

実例 相続した孤独死物件の買取

関西クリーンサービスでは大阪・京都・奈良を中心にご依頼を承った孤独死や自死があった物件をそのままの状態で買取しています。

 

ここでは、実際に孤独死があった不動産を相続した依頼主のご相談を紹介します。

 

依頼主様は70代の女性でした。一人暮らしのお姉さまが、一戸建ての住まいで孤独死されたのだといいます。

 

「頭が真っ白になって、もう、なにがなんだか…」

 

突然のことにまだ心の整理がつかない様子の依頼主様。

 

さっそく見積りのためにスタッフが現地へ向かい、「こちらです」とお亡くなりになった場所を案内していただきました。一戸建てと言えども玄関から腐敗臭が漂っています。

 

亡くなられたのは2階の部屋のベッドでした。床にも体液が染み、しっかりとした特殊清掃が必要なことがわかります。

 

スタッフは依頼主様に今後の物件の用途を訊ねました。それによってはどこまで清掃すべきか検討する必要があったからです。

 

「急なことだったのでまだ考えていないんです。ただ清掃はすぐしないとだめだと思って電話させていただいたんです。」

 

亡くなったお姉さまには子どもがおらず、このお住まいは依頼主様が相続されるとのことですが、どうするかはまだはっきりとしていません。しかし多くのお客様が最初はそうなのです。

 

不動産売買も行っている弊社は、特殊清掃費用を依頼主様が負担することなく、買取をご提案させていただきました。

 

「できるなら、ぜひそうしたい。」

 

という依頼主様。

 

通常3ヶ月~半年かかってくる不動産売買を僅か1ヶ月で完了しました。

 

孤独死は事故物件になる可能性が高く、手放すのが難しくなります。弊社ではこのような事故物件を、依頼主様に負担をかけることなく買取させていただいております。

 

【まとめ】事故物件の相続には様々なリスクがある。迷ったときは専門家に相談しよう

今回は、事故物件の相続について解説しました。

 

事故物件の相続は、その後の処理や手続きが困難な場合があるため、慎重に検討する必要があります。またトラブルにつながることも多いため、関係者間で十分に話し合って決めると良いでしょう。

 

相続放棄する場合も、次の相続財産管理人が決まるまでは管理義務があるため注意が必要です。例えば、維持費の管理や災害などのトラブル発生時には損害賠償責任が生じます。事故物件には、このような多くの課題が残されるため、頭を悩ませる方も少なくありません。

 

事故物件の相続問題は専門業者に任せることがおすすめです。カンクリ不動産では、弁護士や司法書士などの専門職と連携しており、複雑な法律が絡む事故物件を専門に取り扱っています。ぜひ、ご相談ください。

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