ゴミ屋敷で孤独死した高齢の父。“母の死”で崩れた親子の生活
作業カルテ
- 不用品回収のカンクリ
- ゴミ屋敷で孤独死した高齢の父。“母の死”で崩れた親子の生活

配偶者を亡くした高齢男性が、孤独の中で命を落とす。
そうした事例が、今、日本では増えています。
今回、私たちにご依頼をくださったのは、亡くなった男性の息子さんでした。
一人暮らしをしていたお父さまが、誰にも気づかれないまま、トイレで倒れて亡くなっていたというのです。
「正直、残された者としてはちゃんとしてほしかった・・・」
生前のお父さまを振り返りながら、そう語る息子さん。その胸には、拭いきれない複雑な後悔が残されていました。
時間とともに崩れていった親子の生活。
その背景にあったのは、最愛の家族との別れでした。
今回の清掃をご案内するのは・・・
![]() | ナビゲーター ”にゃんと” 大阪・京都・奈良を中心に近畿一円でゴミ屋敷片付けや遺品整理、特殊清掃のサービスを提供する関西クリーンサービスのマスコットキャラクター |
![]() | 解説 関西クリーンサービス スタッフ 太田春哉 関西クリーンサービスのベテラン清掃スタッフ。 「現場作業の詳細をYouTubeで公開しています。ぜひご覧ください!!」 関西クリーンサービスYouTube:https://www.youtube.com/@k_clean0 |
目次
死後1ヶ月以上。ゴミと異臭の残る2LDKの実家

ご遺体が発見されたのは、6月下旬のことでした。

お客様B
休みの日に突然、警察から「言いにくいのですが、状況から見て恐らく亡くなっています。すぐに来てほしい」と連絡がありました。
息子さんは急いで実家に向かい、警察とともに、トイレで倒れて亡くなっていたお父さまを発見されました。

発見された時点で、すでに死後1ヶ月以上が経過していたそうです。
私たちが訪れた際には、室内に強い異臭が充満し、窓際には大量のハエの死骸が残っていました。

担当スタッフ 太田
この年に対応した孤独死の特殊清掃の中でも、とくに臭いが強い現場でした。
室内は、いわゆる“ゴミ屋敷”と呼ばれる状態でした。
玄関から廊下にかけて、新聞紙が何層にも重なって散らばり、部屋の隅々には生活ごみや空き缶、衣類、紙くずなどが積み上がっていました。

リビングに敷いた布団やソファの上には、衣類や新聞、郵便物が乱雑に積み重なっていました。

ダイニングのテーブルにも郵便物が山のように散乱。キッチンの隅には空き缶や食品トレー、ビニールごみが袋にまとめられていたものの、一部は袋に入れられず、そのまま放置されていました。
なかでも印象的だったのは、冷蔵庫の扉一面に貼られたビールの応募シールです。

応募ハガキに貼るわけでもなく、不規則にびっしりと貼られています。荒れ果てた部屋の中での“生活の歪み”を物語っているようでした。
誰にも会うことなく荒れていった生活

今回のご依頼主である息子さんは、まだ30代後半と若い方でした。

お客様B
あまりに突然のことで、知らせを受けたときは驚きのほうが大きかったですね。こうなってしまったことに対し、残念な気持ちもあります。
お父さまが暮らしていた家は、息子さんにとっても思い出のある実家。しかし、息子さんが一人暮らしを始めてからは、交流が希薄になっていたそうです。

お客様B
実家には半年に一度くらいしか帰っていませんでした。父の電話も止まっていたので、連絡もできなくて……。最後に帰ったのも、亡くなる半年前です。郵便受けがいっぱいになっていたので、空にしたのを覚えています。

もともとお父さまは人付き合いが少なく、外出もあまり好まない性格だったそうです。
年金生活になってからは倉庫でのアルバイトに通っていたものの、それを辞めてからは人と顔を合わせる機会も激減。
「毎日顔を合わせる人がいなかったので、倒れていても誰にも気づかれなかったのでしょう」と息子さんは語ります。


お客様B
仕事を辞めて年金だけの生活になってからは、お酒の量がぐっと増えていました。もともと家でも飲むほうでしたが、お金もなかったし、外に飲みに行くこともできなかったみたいで。
だから、家でひとりで飲む時間がどんどん増えていって……。起きて、飲んで、寝て、また飲んで……そんな生活を繰り返していたようです。
かつて息子さんは、高齢の祖母(※故人の母)と同居をしていました。同居の際、お父さまにも「一緒に住まないか」と声をかけたものの、拒否されてしまったそうです。

お客様B
祖母が施設に入るときにも同居を提案しましたが、頑として首を縦に振らなかったですね……。一人で荒れた生活を送って、電気などの支払いも止まり、生命保険も解約されてしまって。残された者としては正直なところ、「ちゃんとしていてほしかった」という思いはあります。
息子さんのその言葉には、突然の別れに対する戸惑いと悔しさが滲んでいました。
止められなかったゴミ屋敷化と、親子が抱えていた孤独

ゴミ屋敷化した部屋の中には、生活ゴミが多く残されていました。片付けが苦手な方だったのか伺うと、息子さんからはこう返ってきました。

お客様B
亡くなる直前は、片付けどころか生きる気力がなかったんじゃないかな……。疾患もなく健康でしたが、母が亡くなってから精神的に落ち込むことが多くなって。生前は母のことをほったらかしにしていたのに、急に「早くあいつのもとに行きたい」と口にするようになっていました。

荒んだ心を映すかのように、至るところにゴミやモノが散乱。息子さんが使っていたというお部屋もまた、モノが積み上げられ、分厚いホコリが溜まっている状態でした。

お客様B
もう15年くらいほったらかしです。たまに帰ってきたときに、一人で掃除しようと思っても、体力もいるし頭も使うので、やる気が出なくて……。

息子さんの部屋にゴミが溜まり出したのは、職場でのトラブルがきっかけだったといいます。

お客様B
実家に住んでいた当時は、派遣社員として働いていました。でも、派遣先と元請け側が揉めてしまって。それでちょっと病んでしまったんです。しかも1日15時間くらい働いていたので、もう心も体も限界でした。
長時間労働と人間関係のストレスで、心身ともにすり減った息子さん。その影響で掃除に手をつける余裕もなくなり、次第にモノとゴミが積み重なる空間へと変わっていったそうです。

しかし、部屋が荒れていくのを止められなかった理由は、心身の疲労だけではありませんでした。
話を続けるうちに、息子さんの口から、こんな言葉がこぼれました。

お客様B
母が亡くなったのは、僕が10代の頃です。それから僕も父も、たぶんずっと寂しかったんですよね。でも、それをお互い口に出すこともなくて。ただ一生懸命働いて、気持ちをごまかしてきた。その反動がどこかで出てしまったんだと思います。
かけがえのない存在を失った虚しさは、時を経てもなお、親子の生活に大きく深い影を落としていることが伺えました。
特殊清掃を開始。体液が染み込んだ床と便器を撤去
お部屋全体の状況を確認したのち、まずは空間全体に消毒薬を噴霧し、作業を開始しました。完全脱臭を目指して、トイレ周辺の洗浄と工事、遺品整理を同時進行していきます。
今回とくに汚染が激しかったのは、やはり、体液が広がっていたトイレの床です。粉末状の除菌剤をふりかけ、体液を凝固させたうえで、ヘラで丁寧に削り取っていきます。

その後、体液が染み込んでいた床材をすべて剥がし、便器本体も取り外しました。

また、臭気が吸着した壁紙も一枚ずつ丁寧に剥がしていきます。

トイレとその周辺の洗浄と工事が済んだら、特殊清掃はこの後、数日間、専用の脱臭機を用いて室内の空気を処理する行程へと続きます。
遺品整理で見つけた家族の思い出

特殊清掃と同時に、室内の消毒後からは息子さんにお立ち会いいただき、遺品整理・家財整理も進めていきました。貴重品がないか、都度確認しながら仕分けをおこなう中で、私たちは“あるもの”をどうしても見つけたいと思っていました。それは、息子さんがふと口にした、こんな言葉がきっかけです。

お客様B
僕が子供の頃は貧しくて、カメラも持っていなかったので、3人そろった家族写真がほとんどありません。
その言葉を受け、スタッフは押し入れや家具の中まで丁寧に探し続けました。
片付けが終盤に差しかかった夕方、まだ手をつけていなかったリビングの押し入れの一番奥から、ホコリをかぶった段ボール箱が見つかりました。
その中に、息子さんが生まれたばかりの頃の写真や、ご両親が若い頃の写真が何冊も丁寧に残されていたのです。


お客様B
こんなんあったんや…初めて見ました。片付けてもらってよかった…
この日、初めてご依頼者さまの笑顔が見られました。
長時間に及んだ作業でしたが、アルバムをお渡ししたときの表情に、スタッフもホッと肩の力を抜いたことを覚えています。

お客様B
僕が生まれたのは両親がいた証なので、写真とか、本当に必要なモノ以外は捨てようと思います。
家族での唯一の楽しい思い出は、毎年の年末に映画館へ観に行ったゴジラ映画だけだったと語っていた息子さん。
埃まみれの段ボールの奥に、“家族で過ごした日々”が確かに残っていました。

すべての作業が終わり、きれいになったお部屋を見渡しながら、息子さんはぽつりと、こう呟きました。

お客様B
大勢のスタッフさんに、僕と僕の家族が散らかしてきた部屋をきれいにしてもらえてよかったなと思います。
こんな状態になる前に止めておかなきゃいけなかったという思いはありますが、どうしようもなかったです。心の余裕があれば、違っていたのかもしれません……
私たちはその言葉を胸に、静かにお部屋をあとにしました。

担当スタッフ 太田
今回の現場は物量が多かった上に、トイレ内装の解体を同時進行したので、作業は長時間に及びました。
最初は「ゴミ屋敷で孤独死」と聞いていたので、亡くなったお父さんが一人でゴミを溜め込んでいたのかなと思っていましたが……実際に現場を見てみると、いちばんゴミやホコリがひどかったのは息子さんの部屋でした。

にゃんと
お母さんを早くに亡くされて、残された父と息子のふたりだけの生活が、ここまで荒れてしまうなんて……。家族を失った喪失感って、暮らしそのものを変えてしまうんだね。

担当スタッフ 太田
それほど、大切な人との死別は、生活に大きな影響を与えるんだ。
それにしても、あの日の作業は本当に過酷だったよ。前日からの雨の影響で湿度も気温も高くて、防護服の中はサウナ状態。蒸し暑く死臭とホコリが充満する中での清掃作業で、いつにも増して体力の消耗が激しかったことを覚えてるよ。
今回の特殊清掃の概要
地域 | 大阪 |
作業内容 | 遺品整理、大量のゴミの処分、消臭除菌、汚染か所の洗浄・撤去(一部解体)、設備取り外し、オゾン脱臭 |
作業期間 | 3日間(うち2日はオゾン脱臭) |
作業人数 | 7名 |
トラック | パッカー車、2tトラック |
料金 | 809,600円(税別) |
大阪・京都・奈良で孤独死の特殊清掃にお困りなら関西クリーンサービスにお任せください
特殊清掃は家財道具の片付けや体液の洗浄だけでなく、脱臭、内装工事など多岐にわたります。関西クリーンサービスではこれらの作業を一貫して対応いたします。業界トップクラスの清掃、オゾン脱臭技術で、お部屋を原状回復。リフォーム業者様と提携されている場合の作業の範囲もお気軽にご相談ください。
一人暮らしの高齢男性に多い“トイレでの孤独死”


にゃんと
他の事例でもトイレでの孤独死があったけど、こういうケースは多いのかな?

担当スタッフ 太田
じつは、かなり多いんだ。孤独死された方が発見される場所として、「トイレ」は上位に入るよ。
孤独死が発見される場所として「トイレ」「浴室」「居間・寝室」は代表的な3か所です。
なかでもトイレは、冬場はヒートショック、夏場は脱水・熱中症による意識障害や心筋梗塞・脳梗塞などで、突然倒れてしまう事故が多発しています。

担当スタッフ 太田
とくに飲酒の習慣がある人だと、アルコールの利尿作用によって、トイレの回数が増えるんだ。飲酒でふらつきや血圧の変動が起きやすくなって、トイレで踏ん張った際に心臓や脳に大きな負荷がかかることもあるんだよ。

にゃんと
なるほど……トイレって、意外とリスクが高い場所なんだね。

担当スタッフ 太田
そうだね。しかも、今回のように夏場だと、部屋の気温も上がるから、発見が遅れると遺体の損傷が進みやすい。だから現場もかなり厳しい状況になっていたんだ。
2025年に発表された警察庁のデータでは、死後8日以上たって発見された(孤立状態にあった)65歳以上の孤独死のうち約8割が「男性」とわかりました。
離婚や死別によって一人になった中高年男性は、孤立・うつ状態・生活習慣の乱れから、健康状態を悪化させるリスクが高く、結果として「誰にも気づかれない死」に至ってしまうケースが後を絶ちません。

にゃんと
つまり、本人の健康だけでなく、生活リズムや支えが失われることで、孤独死のリスクが高まるのかな?

担当スタッフ 太田
うん。とくに男性は、家事経験が少ない人も多い。配偶者がいた頃は「大丈夫」と思えても、突然一人になったことで急変してしまいがちだよ。
それに、男性は女性に比べて、家庭や職場以外のネットワークが少ない傾向があるとも言われていて、死別・離婚・退職によって孤立が起こりやすいんだ。
今回のご依頼者さまのように、家族がいても距離ができてしまうと、いつの間にか孤立が進んでしまうこともあるんだよ。

にゃんと
だからこそ、ちょっとした異変や生活の乱れに、周りが気づけるかどうかが大事なんだね。

担当スタッフ 太田
一人暮らしの人は、近所の人と挨拶を交わしたり、地域の活動にちょっとだけでも参加したり。そんな小さなきっかけが、人との関わりを保つ一歩になるんだよ。
「ちょっと気になるな」と思ったときこそ、声をかけたり、顔を見に行ったりするタイミング。それが、未来の後悔をひとつ減らすきっかけになるかもしれません。
関西クリーンサービスのYouTubeでは、実際のご依頼を通じてゴミ屋敷や孤独死の実態を詳しくお伝えしています。気づきや考えるきっかけになれば幸いです。
対応地域
最短即日で無料見積もりいたします。
電話・出張お見積もり、出張査定すべて無料!!
通話料無料! 受付時間8:00~20:00(年中無休)
各種クレジットカード対応!!

スマートフォンひとつで簡単にお支払いができる、決済サービス「PayPay」にも対応しています!
地域 | 大阪 |
---|---|
作業内容 | 遺品整理、大量のゴミの処分、消臭除菌、汚染か所の洗浄・撤去(一部解体)、設備取り外し、オゾン脱臭 |
作業期間 | 3日間(うち2日間はオゾン脱臭) |
作業人数 | 7名 |
使用トラック | パッカー車、2tトラック |
料金 | 809,600円(税別) |