若者の孤独死が増加!?~死後3ヶ月が経過した孤独死のお部屋の特殊清掃からスケルトン解体まで

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最近増えている若者の孤独死。弊社でも、20代~30代の方が亡くなられたとのご依頼が多く寄せられます。

今回は、そんな若者の孤独死現場のなかでも、凄惨を極めた事例をご紹介します。

 

 

現場は賃貸のワンルーム。物件オーナーさまからのご依頼でした。故人は、一人暮らしをしていた20代の男性です。

 

朝晩がまだ冷え込む3月頃、人知れずお亡くなりになった故人。

死後3ヶ月経って発見されたときには、暖房と外気温の影響で、ご遺体が液状化していたそうです。ドロドロに溶けて、一体誰なのかも、何が原因で亡くなったのかも分からない状況だったといいます。

 

お部屋の惨状と死臭の強烈さから、オーナーさまはお見積りの段階でスケルトン解体(※部屋の骨組みや構造は残しつつ、コンクリート状態にまで戻すこと)をご希望されていました。

 

 

発見が遅れ、ご遺体が液状化。凄まじい部屋の様子

手を合わせる清掃員

2022年4月某日、作業員4名で特殊清掃に伺いました。

現場はマンション1階のお部屋だったため、建物に入った瞬間から、異様な臭いが漂ってきました。死臭が玄関外にまで漏れ出てしまっていたのです。

 

室内に入ると、警察の見分跡が垣間見えました。身元確認のために、タンス内の遺品を探した痕跡が残されています。暖かい室温のなか、ご遺体が3ヶ月も放置されていたため、ベッドや床は壮絶な有様です。

 

亡くなられたベッド

周辺の床は、溶け出した体液に混ざった脂で、べとべとの状態。置いてあった紙袋なども、脂まみれです。何の袋だったのか分からないくらい、体液にまみれた物もありました。

ぐちゃぐちゃの袋
体液でぐちゃぐちゃになった袋

 

壁際に寄せられたベッドは、体液でぐちゃぐちゃになっています。フローリングに敷かれたラグには、人の脂でできた鍾乳石のような塊がいくつもありました。

鍾乳石のような塊

おそらく、ベッドの上でお亡くなりになり、身体が溶けて床に落ちていったのでしょう。ベッドフレームにも、石化した体液が氷柱のように垂れていました。

氷柱のようになった体液
氷柱のようになった体液

 

このように体液が石化している現場は、弊社としてもレアなケースです。キャリア15年以上の亀澤代表も、「珍しい状態。体液であることは間違いないけれど、もはや何か分からない」と眉をひそめました。

 

脂の量や死臭のきつさは、亡くなられた方の食生活や体型が関係しています。体液の広がり具合や臭いの強さから、故人はおそらく少しふくよかな方だったのでしょう。かなり気密性の高いお部屋のせいか、惨状に反して虫は一匹も見当たりませんでした。

 

孤独死の現場では、「セルフネグレクト(※生活環境や本人の衛生環境が著しく悪化しているにも関わらず、周囲に助けを求めない状態 )」の痕跡が見られるケースもあります。しかし、そのような荒れ方はしておらず、“一般的な一人暮らしの男性のお部屋”という印象を受けました。

 

部屋全体の画像
警察の捜索のため、少し荒れている

 

テーブルの上に、がん治療に関するパンフレットが置いてありました。何か持病を患っておられ、それが原因で突然死されたのかもしれません。

ガン治療パンフレット
ガン治療のパンフレット

 

死後かなり日にちが経過していること、死因自体が不明なことを考慮し、念入りに消毒してから、作業に入らせていただきました。

 

作業1日目。遺品の中から出てきた意外なモノ

片付けの様子
片付けの様子

 

噴霧器を使って全体的に消毒したあと、体液に汚染された荷物から片付けを進めていきました。靴箱の中、棚の中、冷蔵庫の中身などを処分し、貴重品や重要書類なども仕分けしていきます。

片付けの様子

片付けを進めていくと、土地の権利書や建物の登記書類などが出てきました。故人は不動産をお持ちだったようです。

権利書
遺品から見つかった登記書類

 

遺品の中には、立派に装丁された家系図も。遺品整理中に家系図が出てくることは、弊社ではめったにありません。地主などの、名が知れた家系のご出身だった可能性があります。

家系図

細かな遺品整理後、大型の家電などを運び出していきます。

家電の搬出

ワンルームの遺品は、それほど多くありませんでした。しかし体液が広範囲に及んでいるため、万が一にも室外に体液を付着させないよう、慎重に搬出する必要があります。

体液が染み込んだラグ
体液が染み込んだラグ

 

家電など荷物の運び出しを終えたあと、体液の処理を始めます。

体液が染み込んだベッドシーツ
ベッドシーツはベッドにこびりついていた

 

体液に汚染されたベッドを、ポリエチレン製のストレッチフィルムに包み、しっかり密閉します。ストレッチフィルムは厚みと伸縮性を持つ、業務用のサランラップのようなものです。

ベッドマットをラップで密閉

体液が付いてしまった家具などは、それ自体が臭いを発してしまいます。集合住宅の共有部に臭いが漏れないよう、しっかり覆ってから搬出しました。

ベッドの搬出

搬出後、ベッドがあった部分を噴霧器で再度消毒。サニティア(※緊急汚物処理剤。ウイルスに対して強力な除菌効果をもつ)を床全体に散布し、スクレーバーで汚れごと取り除いていきます。

消毒剤を散布する作業

「どうせ内部解体してしまうのなら、床はそこまで除菌しなくていいのでは?」と感じた方もいるのではないでしょうか。

 

今回のように内部解体を前提とした現場であっても、弊社では徹底的に2回目の消毒・除菌作業を行っています。この後作業に入るスタッフの安全を考慮すると同時に、感染のリスクを外へ持ち出さないためです。

 

作業終了後、スケルトン解体・施工の手順を確定し、後日内部解体へと進みました。

作業2日目。内装をすべて剥がす

床材を剥がす

いよいよ内部解体を始めます。この日は、内装を剥がす作業を行いました。

 

まず、床のクッションフロア(※以下、CF)から着手。CFには防水性が備わっているため、液体をこぼしたくらいでは浸み込まないようになっています。しかし体液が広範囲に及び、長期間放置されていた現場では、CFの継ぎ目から漏れ出てしまうことが多々あります。

 

今回も、脂などの体液はCFを突き破ってコンクリートにまで浸透していました。

床下に染み込んだ体液の痕
コンクリートに染み込んだ体液の痕

 

臭いの元を取るため、壁や天井のクロスなども剥がし、室内の間仕切りは解体します。

間仕切りの解体

そして、室内をコンクリート状に戻し、2日目の作業は終了です。

 

作業3日目。コンクリートを研削

コンクリートの研削

作業3日目は、コンクリートの研削と消毒を行いました。まず、体液が付着している部分を丁寧に削っていきます。

 

さらに全体に消毒液を散布し、ブラシでしっかり洗浄。

消毒剤で洗浄

仕上げに消臭コーティングを施して、3日目の作業を終えました。

 

作業4日目。最後の仕上げ

作業4日目にして、仕上げに入ります。コンクリートを削っても、きつい臭いは残ったままでした。亀澤代表も、「ここまでやって、まだこれだけ死臭が残っている現場は珍しい」と驚くほど。

 

まず、玄関ドアや窓ガラスなどの建具を、薬剤を使って洗浄していきます。

玄関ドアの消毒

次に、特殊な薬剤を専用の機器で噴霧。

この後に行うオゾン脱臭は、高湿度であればあるほど効果を発揮します。より効果を高めるため、湿度60%以上になるよう部屋の湿度を上げていきました。

薬剤を噴霧

高湿度を保ったまま、次は高濃度オゾン発生器を使用し、部屋を燻蒸します。スチームサウナのような湿度のなか、亀澤代表は黙々と作業を続けました。

オゾン発生器をセッティング

その後、コンクリートを再コーティング。二度目のオゾン燻蒸をセットしたまま、2日間の経過観察に入りました。

 

作業開始から6日後。作業完了

スケルトン状態の室内

前回の作業日から2日後。高濃度オゾンにより腐敗臭はしっかり分解され、臭いはようやく正常になりました。作業日数は計6日間、特殊清掃の費用は50万円です。(撮影ご協力値引きを含む)

 

悲惨な孤独死を避けるために、私たちができること

今回の現場で亡くなられていた方は、20代のとても若い男性でした。孤独死は決して高齢者特有の問題ではなく、一人暮らしの若者も無関係ではありません。

 

実際に弊社へご依頼を頂くなかでも、若い方の孤独死現場は増えています。自死や突然死、セルフネグレクトによる引きこもり。若者の孤独死には、さまざまな要因が潜んでいるのです。

 

孤独死の増加により、私たちのような特殊清掃業者のお仕事が増えることは、決して喜ばしいことではありません。このような現状に歯止めをかけていくためにも、記事や動画を通じて、警鐘を鳴らし続けていきたいと思っております。

 

離れたご家族や、疎遠になってしまった方にもなるべく連絡を取っていただき、安全を確認し合っていただければと、心より願っております。

 

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通話料無料! 受付時間8:00~20:00(年中無休)

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地域

奈良県

作業内容

遺品整理、スケルトン解体、体液痕の除去、オゾン脱臭

作業人数
4名(初日の清掃時)、その他工事作業員
作業日数

6日

料金

500,000円